校長挨拶

及川 研(おいかわ けん)


 附属世田谷小学校では、文部科学省の指定を受けた研究として、令和元年から5年まで、新しい教育体制の、HomeLaboratoryClassの3つによる教育課程を試行してきました。その目的に添う成果がでていると考えられたので、令和6年からも、引き続きこの教育課程を基礎に、一般の学校にも応用可能な形の提案となるような実践を重ね、ノウハウを提供しようと教員一同で臨んでいます。
 
 3つの領域は、異年齢が集い家族・きょうだいのような関係で活動するHome、自分の興味・関心にそって自分らしく対象や方法を模索して活動するLaboratory、それらを通じて培われる「主体的にものごとに向かう姿勢」「まわりの人に対して温かな気持ちを持って接する姿勢」を基礎として、先生がねらいとしかけを持って提供するClassの授業で、これらが総合的に子どもを育むことに寄与するように展開しています。
 
 例えばLaboratoryでは、受け身的な学習ではなくて、自らの興味関心にそって「自分で学びをデザインする」望ましい学びができているようです。期末のポスター発表を見ると、3年生・4年生であっても、しっかりとした手順で課題に臨み、考えた結果・成果を堂々と発表しています。
 Homeでは、当初から、低学年児童の遊び方に助言する中学年児童と、その助言をそばで聞いて「それでは不十分なんだけどな」と気づきながら中学年の成長を思って口出しするのを我慢している6年生(配慮ある姿です)が見られたり、言い合いになってしまった6年生どうしをみて、仲をとりなしながら「お姉ちゃんたち仲良くしてね」と訴える低学年児童も見られました。
 実践が進んだ令和5~6年度には、高学年児童の作文に「1年生の身の回りのことなどをすぐやってあげるのではなくて、自分でやろうとする1年生を最初は見ていてあげる、困っているなら言葉で助けてあげる、それでも難しければ少し手伝って、やってあげることはできるだけしないようにします」とあったり、2年生児童が「声をかけるときは、ダメ出しではなく励ましになるように気をつけます」と発言したり、など、児童の進歩が見られます。メンバー皆が活躍できるような状況を、互いが作ろうとしている感じです。
 また、上級生が話し合いをリードする様子を見ている2年生も、2年生同士の話し合いの時に上手にまねていますし、下級生でも行事の実行委員に立候補する者があります。
 上級生を見ながら、自分たちの1年後2年後をイメージしながら生活できているからでしょう。
 
 秋のスポーツフェスティバルでは、1番を目指したり優勝を競ったりの従来の運動会とは異なり、対戦相手が存在することを幸いと捉え、勝った者も負けても頑張った者もどちらも称えられることを目指して、とごく自然に考えられるようになっています。勝ったときにとるべき態度、負けたときにとるべき態度が適切になってきていると感じます。
 冬のHomeフェスティバルの発表では、他のHomeの取り組みを敬意を持って観た上で、温かな眼差しで質問したり褒めたりする関係がいたるところで見受けられました。
 
 しかし、Homeでは立場の弱い者への配慮ができる児童達も、Classで同級生相手だと優しくない行動をとる、という現象も見られたので、現在は次の段階として、同級生との間でも温かな思いを持って互いと接することを促しているところです。
 
 来年度に150周年を控えて、新たなスタイルの中で、これからの時代に活躍できる素敵
な子どもを育めるよう、学校として努力を重ねて参ります。
 
2024年4